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「知らない人んち」最終話 noteクリエイター台本

お疲れ様です。「知らない人んち」演出・Pの太田です。最終話の台本を載せますねー。写真は、結局一度も使われなかった屋根裏部屋にいるきいろちゃんです。

     「知らないひとんち」第4話note版 

1. リビング
キッチンでお茶を入れている笑顔のきいろ。
その様子をジェミが見つめている。
ジェミ「あなた……誰……?」
佐和子「……」
佐和子の表情が一変。ジェミの元に向かっていく。
ジェミ「!」

2. 外の道

偽警官を見送ったキャン。
その場で、キャンはアクにスマホで連絡しようとしている。
メール画面(宛先はアクで打ち始めている)
人影を感じて、キャン、顔をあげるとアクがいる。
キャン「アク! 今連絡しようとしてたのよ。やっぱりきいろは何も知らない」
キャン、竹田死亡のニュース画面を見せ、
キャン「この、アクが作ったフェイク記事見せても、意外と冷静っていうか、覚えてたらさすがにもっと取り乱すはず……」
ア ク「……」
アク、うつむいてハンカチを握りしめている。
キャン「……アク?」
ア ク「きいろは、きいろじゃない……」
キャン「……え?」
ア ク「家にきたあいつは、俺たちの知ってるまなかきいろじゃなかったんだ」
キャン「……」
ア ク「竹田先生は気づいたんだ」

3. 回想・アクの部屋(夜)

アク、部屋でパソコンを見ている。
そこに一通のメールがそれは竹田先生。
竹田先生のメール画面。
『本当にあの子はきいろなのか?
 彼女は金属アレルギーだったはずなんだ……』
×    ×    ×
フラッシュ。
第2話の別れ際のシーン。
竹田が何かに気づいている。
きいろが耳につけているピアスのアップ。
×    ×    ×

ア クMO「それで、調べたんだ」
アクPCには、きいろのユーチューブのスクショ画面。
『この画像を検索』をクリック。
ヒットしたのが堂島佐和子の美しすぎる書店員の記事。

4. 同・外の道

アク、キャン、スマホを見ている。
キャン「……堂島…?」
ア ク「どうやら本当らしい……」

5. 回想・きいろのバイト先

ア ク「この人ご存知ですか?」
きいろの画像を見せている。
バイト先の店長の声「ああ、この子? 顔はいいんだけどさー。仕事できないんで、やめてもらったよ」
ア ク「まなかきいろさんですか?」
店長の声「何言ってんだよ。堂島。堂島佐和子」
ア ク「そうですか……」

6. 同・外の道

キャン「……あの子は一体…」 
ア ク「……」
するとアクの元にジェミからメールの通知が。
みると、ジェミが縛られている画像。
ア ク・キャン「!?」

7. リビング

かけこんでくるアクとキャン。
ジェミが縛られ、佐和子が包丁を突きつけている。
佐和子「……」
ア ク「なにしてるんだ……」
佐和子、アクが近付こうとすると手で制する。
佐和子「……」
キャン「……あなた一体誰なの?」
佐和子、口を開く。
佐和子「……気づいてたんだね。私がきいろじゃないってこと」
ア ク「これか……」
と、堂島の画像を見せる。
佐和子「そう私は、堂島佐和子……。きいろが施設から家にやってきてから、ずっと一緒に暮らしてる。私たちはそれぞれ別の施設から堂島家にやってきたけど、本当の姉妹、いやそれ以上かも」
キャン「本物のきいろちゃんは……?」
佐和子「死んだ」
一 同「!」
佐和子「って言ったら喜ぶだろうけど、結婚して海外に行った」
一 同「……」
佐和子「きいろはずっとあなたたちを心配してた」

8. 回想・外

佐和子、スマホできいろと電話をしている。
佐和子「こっちはまだ朝だよー」
佐和子MO「自分の存在が、あなた達に不安を与えてるんじゃないかって…」
佐和子「何があったか知らないけど、そんな昔のこといいじゃない……大丈夫だって。もういい加減幸せになんなよ」
佐和子MO「だから……」
佐和子「わかった……私がやってあげる。あんたのフリして、みんなに会って、なーんにも覚えてないってフリをして、安心させたげる」
佐和子MO「だから私は、あなたたちに会いたくて施設の近くで動画を撮り始めたの。まなかきいろを装って……」

9. リビング

佐和子「『何も覚えていない』それを伝えてすぐ帰るつもりだった。でも……あなた達はきいろを殺そうとしてた」
佐和子、ジェミに包丁をつきつけている。
ア ク「いや、違うんだ…」

アク、佐和子に近付こうとすると、
さらにジェミに包丁が近くなる。

佐和子「なにが違うの。きいろの気持ちになって考えたことある? あの子はずっとあなた達のことを心配してたのに、許せない」
キャン「……きいろが」
ジェミ「私たちのことを……」
佐和子「だから私は、予定を変更し、事件を暴こうとした。
……けど、それは見つからなかった」
キャン「それは、私たちが……」
ア ク「(さえぎって)分かった。すべて話そう。数十年前のあの日、ここで何があったのか」
佐和子「……」
ア ク「ここには、女性の園長がいたんだ……」

10. 回想・リビング

リビングのドアの隙間から園長の姿が見えるようなカット。(子供のころのアクたち目線)

アクMO「彼女は、きいろがこの施設を出ていくのを嫌がったんだ」
園 長「ねぇ、ここに残るって言って! あなたが出て行っちゃったら、ここなくなっちゃうんだよ! ねぇ、それでもいいの? 悪魔! 悪魔!」
ドアの隙間から子供を揺らしているように見える。

11. リビング

ア ク「あとから分かったんだが、きいろを気に入っていた人からこの施設は多額の支援を受けていたんだ。きいろが出ていくとそれがなくなる……」
佐和子「……」
ア ク「僕らはきいろが出ていく方が幸せになると思った。園長さえ止めなければ、きいろは出ていけるのにって。ほんの少しの間でいい。園長がいなくなってくれれば」

12. 回想・リビング

カレーの真俯瞰。葉っぱがひらひらと入っていく様子。
アクMO「……僕らは知ってた。ニゲラには二種類あって、カレーに入れるニゲラはニゲラ・サティバと呼ばれる香辛料。花壇にはえているニゲラ・ダマスケナは絶対に入れてはいけないということ……」

園長、ゆっくりと倒れ、花瓶が割れるカット。

13. リビング

ア ク「効果は僕らが思ったより絶大だった……。園長は入院し、そのあとこの園は竹田先生が引き継いだ。そして、きいろだけは無事に、この施設を出ていった」

佐和子「なんで……そこまでしてあげたのに。きいろを殺そうとするなんておかしいじゃない!」
ジェミ「だから殺そうとしていない」
佐和子「……え」
ジェミ「あれは私が勝手に言ったの。覚えてないんだったら、無理に思い出す必要もないと思って」
佐和子「じゃあ、これは……?」
と、佐和子、鍵を出す。
ジェミ「それは……」
佐和子「あの部屋で、私を、いや、きいろを殺すつもりだったんでしょ?」
キャン「そんなわけ」
佐和子「嘘!」
ア ク「……見ればわかる」

14. 暗室・前

扉の前にやってくる一同。佐和子はジェミの首筋に包丁を突きつけている。
アク、佐和子に手を伸ばす。
ア ク「(鍵を渡せ)」
佐和子「……」
ア ク「知りたいんだろ」
佐和子「……」
佐和子、おそるおそる、鍵を渡す。
アク、鍵を開け、その厳重な封鎖を解いていく。
一 同「……」
皆が固唾を飲んで見つめる中、アクが意を決し、扉を開ける。
身構えるきいろ。
部屋の中にはーー園長が佇んでいた。
佐和子「…え…?」
ア ク「話に出てきた……園長先生だ」
佐和子「どうして……?」
ジェミ「きいろを……解放するため……」
佐和子「……どういうこと……?」
園 長「順を追ってお話するわね」

15. 回想

テロップ「2018年12月」
玄関のドアが開くと、園長が立っている。
園長M「去年の12月……施設が閉所したって聞いて、私、20年ぶりにここに来たの」
     ×    ×    ×    ×
竹田と話す園長(竹田は見えない、または肩だけ映っている)
園 長「ここに住んでるの……?」
   「ええ、体調はだいぶ回復して……」
園長M「竹田先生が住んでて驚いた…。竹田先生は、私が何かを探りに来たと思ったみたいで…20年前の事件のことを話し始めたの」

16. もとの暗室

園長「『すべては自分がやったことです、自分を警察に突き出して下さい』って。でも私は…全部分かってたの」
佐和子「…え…」
アクキャンジェミ「……」
園 長「だから、竹田先生にお願いした」
     ×    ×    ×    ×
回想。
必死で懇願する園長。
園 長「みんなの連絡先、知ってるんでしょ?みんなに会わせて!」
アクN「その数日後、僕らは会うことになった」
     ×    ×    ×    ×
数日後。
おそるおそる入ってくるアク、ジェミ、キャン。
中には園長が。
キャン「園長先生……」
身構える3人。
間。
と、園長が深々と頭を下げる。
3 人「!?」
園 長「ごめんなさい!!」
3 人「……?」
園 長「私がみんなに…罪を犯させてしまった……!」
3 人「……」
園 長「(涙ながらに)私、施設を守りたくて…あの時は必死で…でもやり方を間違ってた…どうにかしてた…その事が…あんなことをさせてしまうほど、あなた達を追い詰めてたなんて……」
ア ク「僕たちを……恨んでないんですか……?」
キャン「先生を、ひどい目に…」
園 長「当然の報いよ…私は、それだけの事をした…。それより、ずっと気がかりだった…あなた達が、罪の意識に苛まれていないかって。私のせいで、あなた達が辛い人生を送っていないかって」
3 人「……」
園 長「あなた達は何も悪くないんだからね? 悪いのは私なんだからね? 本当にごめんなさい…ごめんなさい……!」
3 人「……」
園長に抱きつくキャンとジェミ。アクも寄り添ってーー。

17. もとの暗室

佐和子「ちょっと待ってよ。きいろは? 知らせてくれればあの子だって救われたじゃない!」
ジェミ「小さかったし、覚えてないと思った。覚えてないのに伝えたら、逆に罪悪感を与えかねないし」
佐和子「……」
ア ク「でも、それからしばらくして……」

18. 回想

PC画面を食い入るように見つめるアク、キャン、ジェミ。(♯2より)
アクN「君の思惑どおり、僕は動画を見つけた」
ア ク「たしかめないと」
(以降、新撮)
キャン「たしかめるって…?」
ア ク「きいろが全て覚えていたとしたら……きっと苦しんでる。きっと自分を責めてる。自分のせいで、あんな事件が起きたんだって」
ジェミ「あの子、優しい子だったもんね…」
キャン「……うん、すっごく……」
     ×    ×    ×    ×
計画実行当日。
リビング。
改めて計画を確認し合うアク、ジェミ、キャン。
ア ク「もう一度確認する。もしきいろが何も覚えていないようなら、そのまま帰す。でも、もし覚えていた場合は……」
そばに、園長の姿。
園 長「私が会って謝る。謝って伝える、あなたは何も悪くないって」
ア ク「(頷き)じゃあ、どこかで待ってて下さい」
園 長「……私も…会いたい……」
ア ク「…覚えていなかった場合、会わせられませんよ」
キャン「シェアハウスの住人には見えないし(と笑う)」
ジェミ「忘れてたのに、思い出しちゃうって事も、ね……」
園 長「分かってる。でも、一目だけでも…ううん、声を聞くだけでも…」
ア ク「……」
ジェミ「……あ、いいこと思いついたかも」
一 同「?」
     ×    ×    ×    ×
フラッシュ。
暗室前で激昂するジェミ。(♯0より)
暗室の中で、その声を聞いている園長。
     ×    ×    ×    ×
フラッシュ。
天井裏に行こうとしている園長。(たとえば、台に乗っている足元が、上へあがっていく、とか)
リビングで竹田を含めて話しているきいろ。(♯2より)
天井裏でそれを見ている園長。
園 長「(声を殺して泣いている)」

19. もとの暗室

園 長「うれしかった…でもあなた、きいろちゃんじゃなかったのね」

ア ク「いろいろ試した結果、何も覚えてないと思って安心した。きいろは、苦しんでなんてなかったんだって」
佐和子「待って…じゃあ全部は……きいろの為だったってこと……?ここにいる全員が、きいろのことを想って……?」
一 同「……」
部屋を見渡す佐和子。
佐和子「…これって…」
ジェミ「覚えていてほしくはなかった。でももし覚えていたなら、見てほしかった。ここで私たちと一緒に育った証を……」
当時の写真や絵、工作などの数々が飾ってある。
佐和子「(しばらくそれを見渡して)……」
包丁を置き、ジェミを解放する佐和子。
佐和子「……ジェミさん」
ジェミ「え…?」
佐和子「聞きましたよね。きいろ、ここを出てから幸せだった?って」
ジェミ「……」
佐和子「……すごく幸せだったと思います。うちに来てからも……きっと、ここにいた時も」
ジェミ「……」
一 同「……」
佐和子「それに、今も」
佐和子N「結局ーー」

20. リビング

佐和子「きいろの結婚を祝って」
一 同「かんぱーい!」
盛り上がる一同。
佐和子N「今回のことは、ちょっとしたすれ違いの結果だった」
     ×    ×    ×    ×
フラッシュ。
一連のことが走馬灯のように。
佐和子N「それぞれが、『まなかきいろ』という、一人のことを想ってとった行動の……」
     ×    ×    ×    ×
笑いあう一同。
その姿が一人ずつ消えていき、やがて誰もいなくなる。
佐和子N「そして私は、この家を去った」

21. 道

どこかに電話している佐和子。
佐和子「だから、なーんにも心配しなくていいの。…いつまで黄色信号でいるの? もうみんな、前に進んでるよ」
振りかえり、見上げる佐和子。
佐和子N「知らない人んち……じゃなく、大切な人の、大切な、家族の家を」

22. 家・玄関〜階段〜暗室

誰かが玄関から入ってくる。
階段を昇り、暗室(テープなどは剥がされている)の前へ行き、扉を開ける。
中には、アクとキャン。来たのはジェミ。
ジェミ「……ハッピーエンド、でいいのかな?」
ア ク「ああ」
キャン「20年前に言った『全部きいろのため』って言葉、結局みーーんな信じてくれたね」
ジェミ「もしあの子が本物のきいろで、本当の真相を暴こうとしていたのだとしたら……」
アク、緑の鞄から拳銃を取り出す。
ジェミ、ウサギの背中から毒草を取り出す。
キャン、ブレスレットを一つ外して伸ばすと、ワイヤーになっている。
ア ク「……ハッピーエンドにはならなかった」

                             完

                       
      


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